この記事は著者が韓国語で書いた原文の翻訳です。 原文(한국어)を読む
ガソリンエンジンはなぜ圧縮比12で止まるのか — オットーとディーゼル
加熱量alphaを3から6にしてもr=9の効率は0.5848のままです。動くつまみは圧縮比だけです。
1919年、製油会社のトーマス・ミジリーはエンジンの金属的な「カチカチ」を追っていました。圧縮比を上げると出力は増えます。線を越えると、点火プラグより先に燃料が自分で爆発します。その音がノッキング(knock)です。往復エンジンを四つの熱力学過程に畳むと、効率を固定する式が残ります。同じ圧縮比でオットーとディーゼルのどちらが上かは、末尾のPythonが測ります。
圧縮比を上げるほど強くなるのに、どこで止まったのか
圧縮比(compression ratio、シリンダーが最大のときと最小のときの体積比)はエンジン効率のつまみです。空気を強く押すほど、同じ燃料から仕事が余計に出ます。
先に限界になるのは温度です。断熱圧縮は体積を縮めながら温度を上げます。圧縮終わりの温度が自然発火点を越えると、炎が届く前に混合気が一気に爆発します。ノッキングです。ピストンとベアリングが先に壊れます。
圧縮比のスライダーを上げるとP–Vの輪が左右に伸び、加熱量のスライダーはその輪を上へ押すだけです。
塗られた面積が1サイクルの正味仕事です。加熱量を上げても効率の数字はほとんど動きません。ノッキングが見るのは輪の左端、圧縮が終わった温度です。
ミジリーは1921年、テトラエチル鉛で発火を遅らせました。オクタン価(アンチノック指数)はここから出ます。添加剤にも終わりがあります。ガソリンの圧縮比はふつう9〜12にとどまります。
エンジンを四つの過程に — 空気標準オットーサイクル
実際のエンジンは吸気・燃焼・排気が入り混じっています。これを扱うために、作動流体を一定量の理想気体(空気)とし、燃焼を「外から入る熱」に置き換えます。こう単純化したものがオットー(Otto)サイクルです。
四つの過程で閉じます。
- 1→2: 断熱圧縮(ピストンが空気を押す)
- 2→3: 定積加熱(体積一定、瞬間燃焼)
- 3→4: 断熱膨張(空気がピストンを押す — 出力行程)
- 4→1: 定積放熱(排気で熱を捨てる)
断熱過程では、圧縮比 と温度が次のように結びつきます。
ここで は温度、 は比熱比(定圧比熱/定積比熱、空気で約1.4)です。圧縮比が大きいほど、圧縮終わりの温度 が急に上がります。ノッキングの種はこの式の中にあります。先ほど圧縮比で輪が左右に伸びた理由がここです。膨張で速度を買うノズルは スロートの後ろで広がらないと速くならない流れ の側です。エンジンの膨張はピストンを押す仕事に使います。
効率は圧縮比ひとつが決める
熱効率は、受け取った熱に対してした仕事です。定積加熱と放熱では熱量が温度差に比例するので、
ここで は受け取った熱、 は捨てた熱です。断熱関係 を代入すると温度がすべて約分され、驚くほど単純な式だけが残ります。
効率に残るのは圧縮比 と比熱比 だけです。燃料をどれだけ燃やしたか()は式から落ちました。加熱量のスライダーを押しても効率が動かなかった理由です。
出力に出る56.5%は の 、63.0%は です。 なので損失項は です。温度比は で裏返ります。 で約2.30、 で約2.70です。コードの吸気300 Kをそのまま使うと、圧縮終わりはおよそ690 Kと810 Kです。8から12へ4目盛り上げるあいだに効率は6.5ポイント、温度は約120 K上がります。効率の傾きは寝て、温度の傾きは残ります。ノッキングが効率より先に点く場所です。
の閉じた式は0.5848です。損失 なので は約2.41、 は約722 Kです。加熱のつまみalphaは なので、3なら は約2170 K、6なら約4330 Kです。 で放熱も同じ倍率で増えます。 ではalphaが約分されます。熱を倍にしても0.5848は固定されたままです。
圧縮比8なら約56%、12なら約63%です。数字だけ見ればまだ上げたくなります。ノッキングが12付近で道を塞ぎます。
ディーゼルは定圧加熱で圧縮比の壁を越える
ルドルフ・ディーゼルは別の道を選びました。燃料を先に混ぜません。空気だけを先に圧縮します。圧縮終わりの温度を自然発火点より上に上げた後、燃料を噴射すると触れた瞬間に燃えます。点火プラグはありません。ノッキングを起こす予混合気がそもそもないので、圧縮比を15〜22まで上げられます。
違うのは加熱の仕方です。燃料がゆっくり噴射されながら燃えるため、体積が増える間も圧力がほぼ一定に保たれます。定積ではなく定圧加熱です。
ここで新しい無次元数が登場します。締切比(cut-off ratio)、定圧加熱で体積が何倍に増えたかです。効率はこう変わります。
オットーの式に分数がひとつ掛かった形です。その分数は のとき常に1より大きくなります。つまり同じ圧縮比ならディーゼルはオットーより損です。代わりにディーゼルは圧縮比をはるかに高くできるので、実際のエンジンではより高い効率に落ち着きます。
同じ圧縮比ならオットーが勝つ
二つのサイクルを圧縮比の軸に並べると、順位は図の前に見えます。曲線は右へ行くほど寝ます。圧縮比を1上げて得られる効率は減ります。同じ ではシアン(オットー)が琥珀色(ディーゼル)の上です。赤い帯がガソリンの現実の限界です。オットーはその手前で止まり、ディーゼルは帯を抜けてさらに右で回ります。
締切比を1.2へ下げると、定圧加熱が定積加熱に近づきます。 で二つの式は一致します。その目盛りは、ディーゼルがオットーからどれだけ離れたかです。数字は次の表が先に出します。
Python — 二つのサイクルを直接測る#
閉じた式が状態温度から出るかを、下のコードが測ります。
import numpy as np
K = 1.4 # 空気の比熱比 (cp/cv)
def otto_efficiency(r, k=K):
"""オットーサイクル: 定積加熱、圧縮比 r"""
return 1.0 - 1.0 / r ** (k - 1)
def diesel_efficiency(r, cutoff, k=K):
"""ディーゼルサイクル: 定圧加熱、圧縮比 r、締切比 cutoff"""
return 1.0 - (1.0 / r ** (k - 1)) * (cutoff ** k - 1) / (k * (cutoff - 1))
for r in [8, 12, 18, 22]:
eo = otto_efficiency(r)
ed = diesel_efficiency(r, cutoff=2.0)
print(f"r={r:2d} Otto={eo*100:5.1f}% Diesel(rc=2)={ed*100:5.1f}%")出力:
r= 8 Otto= 56.5% Diesel(rc=2)= 49.0%
r=12 Otto= 63.0% Diesel(rc=2)= 56.7%
r=18 Otto= 68.5% Diesel(rc=2)= 63.2%
r=22 Otto= 71.0% Diesel(rc=2)= 66.0%締切比のスライダーを動かすと琥珀色の曲線だけが上下し、横軸は表の圧縮比です。
既定の では差が で7.5ポイント(56.5対49.0)、 で6.3ポイント(63.0対56.7)、 でも5.0ポイント(71.0対66.0)です。間隔は縮みますが符号は変わりません。スライダーを1.2へ下げると二つの曲線は重なります。、 のときディーゼルの分数は です。 は約2.639なので分数は約1.171です。 のオットーの損失37.0%に1.171を掛けると43.3%、効率56.7%が表と一致します。
次に状態温度から直接効率を作り、閉じた式と対照します。
def otto_from_states(r, alpha, k=K):
"""状態温度から直接効率を計算 (alpha = P3/P2、加熱量のつまみ)"""
T1 = 300.0 # K, 吸気
T2 = T1 * r ** (k - 1) # 1->2 断熱圧縮
T3 = T2 * alpha # 2->3 定積加熱
T4 = T3 / r ** (k - 1) # 3->4 断熱膨張
q_in = T3 - T2 # cv が約分される
q_out = T4 - T1
return 1.0 - q_out / q_in
print(otto_from_states(9, alpha=3.0)) # 0.5848...
print(otto_from_states(9, alpha=6.0)) # 0.5848... 加熱量を変えても同じ
print(otto_efficiency(9)) # 0.5848...三行の出力はすべて同じ 0.5848 です。加熱量のつまみ alpha を3から6へ倍にしても効率は動きません。P–Vシミュレーションで加熱スライダーが効率を変えられなかった理由が、コードで確認できます。
12で止めるか、締切比を削るか#
でオットーは63.0%、締切比2のディーゼルは56.7%です。同じ圧縮比という条件だけならオットーです。ガソリンはその条件を保てません。予混合気がノッキングに阻まれ、12付近が終わりです。効率式 は圧縮比と比熱比だけを残し、燃やす量は出力の大きさだけを決めます。
ディーゼルは空気だけを圧縮して天井を外し、15〜22へ進みます。 のディーゼルは63.2%で、圧縮比12のオットー63.0%と並びます。 なら66.0%で前に出ます。同じ圧縮比の損は締切比の分数が作ったもので、それを覆す決定は圧縮比をもっと許す側です。圧力が落ちて液体が先に沸く壁は 蒸気圧が温度より先に来るキャビテーション で別に見ます。
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